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「嘘を吐くのは得意だろ?」
「それは……」
「だったら傷が癒えるまで大人しくしていれば良かったじゃないかっ……!」
骨が軋む。
揺さぶられるまま視界が揺らぐ。
「そしていつもみたいに涼しい顔で……僕の前に現れてくれれば良かったじゃないか……」
悲痛な声。
九条さんの心はかき乱されている。
「九条さん……ごめんなさい……」
逃げ出すか?
それとも彼の純真を打ち砕くか?
どちらにしろ
このままじゃ征司の思う壺だ。
「でもね、僕……」
ここが勝負所だと思った――。
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