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「あなたには……分からないよね……」
だけどここには僕しかいない。
いくら目を凝らしてみても
「ああ……分からないさ」
彼の目の前には
やっぱり傷だらけの僕しかいないんだ。
「でしょうね」
絶望というほど
ひどいものじゃない。
こんな告白された彼が
どんな顔するかなんて
おおよそ察しはついていたから。
ただやり場がない――。
「それじゃ……」
急に裸でいるのが恥ずかしくなって
シャツを拾い上げる僕の手を
「ならどうして僕を呼んだんだ?」
「っ……!」
九条さんはいつになく乱暴に掴み上げた。
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