蜜柑の月

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蜜柑の月

じりじりと肌を焦がすように太陽が照りつける。 そんな中始まった高校一年の夏休み。 私、香月蜜柑(こうづきみかん)は物陰に隠れ、ある人物を尾行していた。 「恭ちゃん……逃さないからね」 尾行している人物、一つ歳上で幼馴染の恭ちゃんは、私の初恋の人であり、今も変わらず私の好きな人である。 イケメンで、ちょっとSっ気があるが実は面倒見がよくて、すごく優しい恭ちゃん。 その恭ちゃんが……。 「最近冷たいっ!絶対彼女できたんだー!」 「蜜柑うるさい」 横から冷たく言い放たれた言葉に、頬を膨らます。 「だって……宙もそう思わない?」 「別に。いつも通りだけど」 涼しい顔でジュースを飲みながら携帯を見つめている彼は、もう一人の幼馴染の宙(そら)。 私たち三人は別の高校に通っているが、今でも時間がある時は三人で出かけるほどの仲良しだ。 だけど最近、恭ちゃんに声をかけても無視されるし、三人で出かけることもない。 考え事なんか滅多にしない恭ちゃんなのに最近ぼーっとしてる事が多いし、明らかに怪しい。 「今日こそ秘密を暴いてやる!」 「さっさと告白して玉砕すればいいのに」 「……」 宙の毒舌は今日も通常運転なようで、私の心を遠慮なく刺してくる。 「告白なんて……出来るならとっくにしてるよ」 私は口を尖らせながら、公園のベンチに腰掛けて携帯をいじる恭ちゃんを見つめた。 ここからじゃ表情はよく見えない。彼女にメールだろうか。
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