二章

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 俺は暇な時間を見つけては何度か佐々木さんのお見舞いに足を運んだ。  そのお見舞いの成果もあってか佐々木さんは日に日に少しずつ元気を取り戻していきバカ話をできる位まで回復してきた。 「最初は不運だと感じたけど人間、どんな事にも適応出来るようになっているんだな今では自由が不自由なこの体にも慣れてきたよ」 「いや、それは孝(たかし)くんだからだと思うよ普通はそこまで順応しないからね」 「正直、ここまで回復できたのは進のお陰だと思うよ俺の為に何度も足を運んでくれたのはやっぱり精神的に支えられたから」  何回か通っているうちに仲良くなり今では下の名前で呼び合うようになっていた。 「相変わらず仲が良いですね佐々木さんいつもの検査の時間ですよ」 「もうそんな時間ですか?…進が来ると時間が経つのが早いな」 「孝くん…あの看護師さんをちゃんと口説いたの?」  孝くんの担当の看護師さんが検査の時間を知らせに来たので俺は立ちあがり帰る間際に小声で孝くんに確認すると焦った表情を見せながら口説いてないと答える。  実は担当の看護師さんは孝くんの事を心配していた看護師さんだったので孝くんに気があるかもよと余計な助言をしていた。  そんなやり取りを終えて仕事の準備の為に事務所に向かうと中田さんが青ざめた顔をしながらTVのニュースを観ていた。
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