二章

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「中田さん!?…どうしたんですか?顔色が凄く悪いですけど?」 「あっ…あぁ山田さん来てたのか…な…なんでも無いよ…多分ここ最近、あまり眠れてなかったからなちょっと仮眠してくるわ」  中田さんはそういうとベッド代りに使っているソファーに横になる不思議に思いながらも中田さんが観ていたニュースの内容が自然と頭に入ってきた。  特に大きな事件性のあるニュースではなく人が死んでるのがアパートで見付かって警察の方で死因を調べている段階とありふれた様な内容だった。  この日は孝くんの抜けた穴埋めで入ってきた新人が相方となるので少し早いが病院に向かって相方を待つことにした。  暫くすると薄暗い道の方からこちらに向かって歩いてくる人影が見えた。 「えっと…はじめまして脇坂さんですよね?中田さんから話を聞いていると思いますが今日、一緒に働く事になっている山田です」 「あっ?はじめまして脇坂です山田さんよろしくお願いします」 「とりあえず作業着に着替えるんだけど…貸し出されてる部屋が1つしか用意されてないから先に脇坂さん着替えていいよ」  実は今日の相方というのは23歳の女子大生で初めての新人への教育である自分にとってはとてもハードルが高かった。  お互い着替えが終わり洗い場の部屋に行く間でなんとか脇坂さんの緊張を解そうと自分が新人の時に孝くんにしてもらった雑談を交えながら仕事内容を教える。  しかし、いざ作業になると脇坂さんは一歩も動けない状態になり今日は俺の作業の流れを見て覚えてもらうことにした。 (やっぱり若い女性には抵抗があるよな)  初めての仕事で何も出来なくて落ち込んでるだろうと思った俺は着替え終えた脇坂さんにジュースを渡す。 「最初はみんな動けないから気にしちゃダメだよ…それに脇坂さんは気を失ってないから上出来の方だよ」 「何も出来なかったのにフォローまでしてくれて山田さんは優しい方ですね…頑張って早く慣れるようにします」  脇坂さんの言葉に少し照れ臭さを感じながらも脇坂がやる気を出してくれたことに喜びながら帰路についた。  
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