雪と嵐

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小野の腕から逃れて向かい合うと、彼は僕より背が高いので、自然と見上げる形になった。悲しいことに、僕より身長の低い成人男子はそう多くはない。 「祈莉、午前中講義なかったっけ?」 「うん。今日は三限と四限だけ」 「そっか」 「小野は?」 「俺は二、三、四と埋まってる。次の三限、教養だから一緒だよな」 「ああ、うん」 すげー眠い、と心底眠そうに言うので、つい笑ってしまった。 「大教室だからって、油断してるとチェックされるよ」 「あー……、出席と受講態度重視、だっけか」 僕はそういうのは嫌いじゃない方だけれど、たるい、と嫌がる学生も多い。 「……頑張って起きとく。ヤバいとき起こして」 小野は、見た目は少しチャラいが、真面目だ。そうでなかったら、こんな仲よくはなれなかっただろうなと。僕は金に近い茶髪を見上げて思う。
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