シロクロ

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 ボクと相棒のクロはいつも一緒。  ふたりでみんなを守るのが、ボク達のお仕事。  ふたりで一つの、とっても大切なお仕事。  暑い日も、寒い日も、いっぱい雨が降る日も、たくさん雪が積もる日も、ボクらは毎日休むことなくみんなを守る。  それがボク、シロとクロのお仕事。  でもそのことに、誰も気付いてくれない。  いつもみんな、ボクらをドカドカと踏み付けていく。  めちゃくちゃに踏み荒らされてく。  何かに力強く擦られて全身傷だらけになる。  ――誰もボクらを見てくれないんだ。  痛い。痛い。痛いよ。  どうしてこんなひどいことをするの。  痛くて痛くて、涙が出そうだ。 「ねえ、クロ。どうしてみんなはボク達を無視するの? ボク達の姿は見えてるはずなのに」 「オレにも分からないよ、シロ。いつもいつもただ痛い思いするだけ。オレ達はどうしてこんなに悲しい思いをしてまでみんなを守る仕事をしてるんだろうな」  お互いに零れそうな涙を我慢しながら励まし合う。  そんなことを、もう何回繰り返したんだろう。
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