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20 才
手を繋いで歩きながら、カオルが言う。
『カラオケに行くのにさ、女子が入ってくると、ウザいと思ってるんだよね。男だけの方が絶対オモシロイのにって。周りみんな、女子いる方が嬉しそうなのに』
またゲイ疑惑?
「実験する?」
そう言えるくらいは強くなっている。
『うん』
公園を歩きながら。
立ち止まったカオルの顔が近づいてくる。
私はそっと目を閉じる。
あれから何度目の実験だろうね。
カオルの舌が遠慮がちに私の唇の隙間を舐めた。
ねえ、カオル。
あなたがゲイかどうかを確認したいのなら、
私たち、もう一歩進んだ方がわかるのかもよ。
言いたい言葉を飲み込んでいく
ただ青い空と、蝉の声の旋律。
〈 fin 〉
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