第一章  プールの観覧席

3/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
ある日突然、彼からDM(ダイレクトメッセージ)がきた。 「よかったら、連絡とりませんか」 本当になんの接点もない二人だが、女子高に通っているまみにとって こんな最大な出会いはない。 もちろんだが、まみには彼氏がいない。 高校生になるまでたった一人しか彼氏をつくったことがない純水な女の子で、 その彼氏は年上だということもあり、彼が高校に行くタイミングで遠距離を理由にわかれたのだった。 「はい!連絡ありがとうございます!」 それから、二人はmixiのDMを利用して連絡を繰り返すようになった。 メッセージの内容なんて、高校生らしいもので、 「今日部活おつかれさま!」 「テスト期間にはいったね><。忙しくなるー!」 といった具合で、他愛もないものだった。 まみは、彼に会ってみたくなった。 せっかく毎日連絡しているんだし、顔みたいよね。 高校も近いみたいだし。 「今度、会えないかな」 「いいよ!俺、まみちゃんの高校の近くまでいくね!」 意外とあっさりとした返事で少し拍子抜けしたまみだったが その返事に胸が高鳴っていたことは言うまでもない。 胸の高揚感といったら例えようのないほど 脳内がまだ見たこともない彼で埋まるほどだった。 会う日の前日。 髪の毛を何度もとかし、普段つけもしないようなボディミストを全身にまとい、 寝ようとまぶたを閉じても閉じても頭は全然睡眠状態に入らない。 --明日会うのかあ!わあ、どんな人だろうな。アイコンでちらっとみたことはあるけど イケメンっぽいよね。緊張しちゃうなあ!!-- 金曜日。会う約束をしていた日。 まみはその日の授業なんてそっちのけで、ひたすら髪の毛が整っているか、制服にしわがないかを確認する。 放課後、まみの通う高校の近くにあった市民プールの近くで待ち合わせした。 待ち合わせ時間の18時。 まみはそわそわしながら彼のことを待つ。 どんな人がくるんだろう。会いたいなんて言っちゃったけど、軽く思われないかな。 私大丈夫かな。話、続くだろうか。 たくさんの不安がまみを襲った。 プルルルルルルルルル............. まみの携帯が鳴った 「今どこ?近くまで来てるんだけど」 彼からの電話だ。事前に電話番号を交換していたのだ。 「あ、市民プールの入り口にいるんだよね」 「おっけー!すぐいく!」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!