第一章  プールの観覧席

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電話を切ったそのすぐ後に向こうから歩いてくるブレザーの男の子。 短髪で高身長。 「まみちゃんだよね!!待たせてごめん!」 RYOU。本名、中村陵介(りょうすけ)。彼だった。 サッカー部っぽいさわやか男子で、顔はイケメン。いわゆる、しょうゆ顔ってやつだ。 鼻も高く、堀も深い。 少しやんちゃさが見えるような眉毛の太さに、少し消えかかっている柑橘系の香水の匂い。 まみの陵介に対する好感度はグーーンとあがった。 こんな人と出会えるなんて! それから二人は、そのまま市民プールの観覧席でしばらく話をした。 「高校生活どう?」 「私は、結構楽しくやってるよ!女子高だから体育の後の汗ふきシートのにおいはすごいけどね!」 「俺も高校でもサッカー部入れてめっちゃうれしいんだよね!部活忙しいけどさ!」 お互いのことをよく話した。 どんな中学時代だったか。 趣味は映画がすきだとか、スポーツはするのも、観戦するのも好きだとか。 2時間ほど話したところで、彼が実は寮に住んでいることを知った。 市外の中学校に通っていたらしく、高校では寮にくらしながら通学しているらしい。 --高校から一人暮らしみたいなもんだよなあ。すごいなあ-- 「俺、土日忙しいからさ、土日会うなら、俺の寮来ない?部活帰りすぐ帰れるし!」 不信感を抱いたまみだったが、さわやかな彼に下心があるとは思えなかった。
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