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あの夏の少女たちと直接会えるのはもう年一回となった。
時々思い出して空想の中で会うことはあるけれど、それも年々減ってきている。今はもう本当に少なくて、日々を生きているからか年に数回くらいしか思い出さない。
それでも、会えれば嬉しいし思い出話もしたくなる。
お線香を供えた後は
殊更、彼女たちの子は饒舌でお喋りも華やぎ場を盛り上げる。
お父さんもお母さんも叔父さんも叔母さんも、私の知らない、少女だった彼女たちの、親としての顔を聞くのも好きだ。
いつか、私にもそんな日は来るのだろうか。
きっと、来るんだろう。
だって私にも辛い日が無かったわけじゃない。
だから、きっと、いつか。
苦しくて息をするのにも申し訳なくなるほど小さく固まったことも、理不尽に晒され怒りで気が狂いそうになったことも、あったとしても誰かに語れる日は来るんだろう。
語った誰かに思い出して貰えるほど、穏やかに語れる日も来る。
いずれ死ぬまで生きていれば、そうなる。
考えようが考えまいが、時はこうやって進んでいく。
私の中の夏の思い出の少女たちは、死ぬまで生きていた。
そして死んでも、思い出の中で生きている。
ほら、朝の涼しい時間に蜻蛉が飛んでいる。
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