体験談Vol.1

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 まだ僕が高校生だった頃、怪現象が起こった。  それは週末の出来事。普段、平日は午前6時に起きてバスに乗り学校に行く。しかし、週末は午前9時過ぎくらいまで寝ていることも多い。  この日も起きたのは10時前だったと思う。  多分夢を見ていたのだろう。起きたとき、何だかとても楽しい気分だった事を覚えている。それなのに、どんな夢を見ていたのかは、すぐに忘れてしまった。  枕元に置いてある携帯電話を手に取る。折りたたみ式の携帯の右側面にあるボタンをカチッと鳴らすと、勢いよく携帯電話の液晶が開いた。メール有り1件と液晶には表示されている。  手早くメールを確認した。以下の文面は、当時の内容をそのまま転載している。  差出人:母  件名:無題  本文:どこかに出かけるなら行き先くらい言って行きなさい(怒)  受信したのは起きる約1時間前の午前9時過ぎ。起き抜けの働かない頭の状態を差し置いても内容は全く理解できそうに無い為、とりあえず布団から出た。  実家は3LDKの賃貸マンションだ。僕の部屋は1番奥。玄関に行くまでには、必ず母のいる居間を抜けなければならない。だからこそ、奥の部屋から出てきた僕に母は心底驚いたようだった。  母にメールの意味を聞くと、僕が1時間前に何も告げずにスーッと家から出て行ったそうだ。母のおはようの言葉も全て無視したものだから、頭にきた母は僕にメールをしたらしい。  母は、いったい何を見たと言うのだろう? ただ、起きたときに夢の内容は忘れたのに何だか楽しい気分だった事とは関係があるのかもしれない。だが、10年経った今も真相は分かっていない。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!