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「あたしの半分、あなたにあげる」 さて、この言葉の真意を掴むことができる人間が、どれだけいるだろう。 というか、何だ、この状況。 朝の地下鉄。とはいえ、俺は今朝、豪快に寝坊をしたから、朝のラッシュをとうに過ぎた車内は、人もまばらだ。そんな中、ベンチシートで半分眠りに落ちかけていた俺の前に立っていた女の子から、いきなりそんな言葉をかけられたのである。 「……何が?」 そんな言葉を絞り出すのが、精一杯だった。 「だから、あたしの時間の半分、あなたにあげるよ、って」 そう言って、屈託のない笑顔を浮かべる彼女のことを、俺はまったく知らない。 ただ、一言何か付け加えるとすれば、彼女はとても、可愛い子だった。 ああ。 これって、告白なの? つまりは、俺が彼女に自分の時間を半分あげればいい、というわけか。 そりゃあげるよ、あげる。半分と言わず、三分の二くらいくれてやってもいい。 こんな可愛い子が彼女なら、それでも構わない。 素直にそう思った。
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