私と彼女とあの女

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かちん、かちん・・・かちん。 絶え間なく続く音の間隔が徐々に短くなってくる。最初は時計の秒針の様な間隔だったのが今では耳障りな拍手の様だ。 かちかちかちかちかちかちかちかちかちかちかちかち これはヤバい。 単純にそれしか頭に言葉が浮かんでこなかった。 ふと浮いている女の口がパカリと切れ込みを入れた様に開いて、私は本当にこの女に食われるのだと絶望して目をギュッと瞑った。 しかし、私が思ったような事にはならず、いつの間にか耳元で鳴っていたけたたましい音も消え失せている。その代わりに私のスマートフォンの目覚ましアラームが鳴り響いていた。 恐る恐る瞼を開くとそこには、最初から何も居なかったと言わんばかりにいつもと代わりのない仮眠室の天井が見える。 兎に角助かった。そして一秒でも早くこの気味の悪い仮眠室から出たいと、逃げ出すようにナースステーションに戻った。 その日の夜勤は特に何事もなく終わり、あの時みたのも竹村さんの発言に感化されて寝ぼけて見えただけだったと思い込むことにした。     
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