第一章 『にき、一緒に踊ろう』

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~三保にき《みほ にき》~  できるだけ、安全な場所にいたい。  非難されずに、小さな幸せだけを感じて、細々と生きたい。  生まれつきの難聴で、人の話す言語を聞き取ることができずに、私は幼き頃よくいじめられていた。  小心者で向かっていくことはできずに、いつも泣いていたのを覚えている。  しかし、そんな私を放っておかずに、いじめっ子に立ち向かってくれたヒーローが一人だけいた。  それは、幼馴染の轟翔馬(とどろき しょうま)である。  翔馬は家の近所に住んでおり、自分より一つ年下なのだが、幼き頃からよく私にかまってくれていた。  いつしか私が手話を覚える時、同じく翔馬も手話を使えるようになり、私達は手話を通して会話ができるようになった。  翔馬は、いつも私の味方で、ずっと傍にいてくれる。  私は、家族と、翔馬と、数少ない友達がいてさえくれれば、それで十分幸せを感じていた。
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