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男は慌てて持っていたバッグを床に置き、腰に差していたナイフを手に取った。
そして男は壁とドアの間の僅かな隙間から廊下の様子を窺った。
廊下にも電気は点いていなく暗かった。
男の鼓動は早かった。
右手にはナイフ。
それを握る手は緊張から汗ばんでいた。
少し離れた場所からまた物音が聞こえた。
ナイフを握る手に力が入る。
足音が聞こえ、そしてドアが開く音が聞こえた。
男は生唾を飲んだ。
足音はゆっくりと男の方へ近づいてくる。
ゆっくり。ゆっくり。
男は顔をドアに近づけ、目を凝らしてドアの隙間から廊下を見た。
男の目の前に、ロープを持った男の姿が映った。
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