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始めは、ただ時間を持て余していたからだった。
仕事の重圧に耐え切れず、寿退社という体で会社を辞めた後パートで働き始めた。
彼の帰宅に合わせて食事を用意するうちに、夕方に暇が出来てしまった。
正社員の頃よりも早く終わる仕事、独身の友達とも子持ちの友達とも時間が合わなくて、ひとり遊びに耽るようになった。
まだ10代の時に集めていたビーズの存在を思い出し、実家の押入れから掘り起こしたのだ。
今日も仕事を終え家に帰り着き、お茶で一服した後、さぁ今日はどのビーズを使おうかなと鼻唄など口ずさんでいたところ、高校のグループトーク画面にメッセージが届いた。
「おっ、宇野ちゃん、ついに結婚かぁ~!」
舞い込んだ幸せな報告に、思わずひとり歓声を上げてしまう。
グループメンバー内では3人目の吉報だ。
『この度、入籍致しました。結婚式を挙げますので、是非出席して頂けると嬉しいです。日取りは11月……』
結婚式かぁ、楽しかったなぁ。
既に遠い昔の出来事のよう……って、まだ2年も経ってないって。
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