魔法が解けたら

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心の中で自分に突っ込みを入れながら、目を細め懐かしく浮かべた想い出を紐解いた。
ドレスの試着に、装花やテーブルコーディネイト選び、ウェルカムアイテムやムービーの手作り。
大変だったけれど、夢みたいに楽しい時間だった。

魔法はあっという間に解ける。
一緒に住んで約２年、結婚式や新婚旅行の想い出を飾り付け、小綺麗に整えていた新婚夫婦の城はどこへやら。
部屋はとっ散らかり、洗濯物は極限まで溜め込まれ、日々の食事は簡単手抜き。

『久しぶりー！ もちろん出席します！ 宇野ちゃんのドレス姿綺麗だろうなぁ。楽しみ～♪』

粗末な現状を思い、苦笑いを浮かべつつも返信を打ち込んでいると、そういえば高校メンバーで恒例だった女子会もずいぶん開催されていないという事実に考えが及んだ。
すると早速返信が画面に浮かび上がる。

『凛ちゃんが結婚式の準備してた頃よくぼやいてたから心配だけど、彼と協力して頑張るね！』

思い掛けない彼女の言葉に、記憶も薄れていたあの頃のアクシデントが鮮明に蘇った。