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僕はグレープフルーツが大好きだ。
「女の子みたいだね」
と君に笑われたのは恋人だった頃の話。
今日は冷蔵庫の中にグレープフルーツが一個入っている。
それを夕食後に、僕が半分に切って君と分け、スプーンで掬って食べるのが至福の時。
うん、こうやって食べるのが一番美味い。
君は必ず一個しか買ってこないよね。
「半分こって、なんか幸せの象徴だよね」
って言う君に
「一個丸ごとのほうが贅沢じゃん」
なんて言ったけど、本当は君の意見に賛成。
「そうだよね」
って言えない僕は天の邪鬼だ。
冷蔵庫の中でグレープフルーツを見つけた時に「やった！」って言うのは……
僕がグレープフルーツだけ君と半分こにするのは……
大好きなグレープフルーツだからこそ、大好きな君とこうやって食べれるからなんだよ。
僕はそれが嬉しいんだ。
夫婦で分け合うって特別な感じもする。
君もニコニコとグレープフルーツを食べる。
僕はその笑顔を見て、君も幸せを感じてくれてるんだと思うと、僕も幸せだよ。
あのね、気づいてる？
グレープフルーツを切るときに片方をちょっとだけ大きくするんだ。
それを君にあげてるんだよ。
君は決まって「もう食べれない」って言うから、僕はその残りをもらうんだよね。
ちょうどそれで半分こ。
甘くて、酸っぱくて、ちょっと苦いグレープフルーツ。
僕の幸せの味は、そんな味だ。
END
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