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昼下がり。
黄色い光の差し込むアパートの一室。
太陽と、春と夏のちょうどあいだと、少し、汗かいた匂い。
背の低い冷蔵庫から、ジジジ.....と、音がする。
僕がスーパーで買ってきたアイスを、懸命に、冷やしているんだろう。
彼は窓のそばで、向かい側の家なのか、空なのか、どこか、向こうがわに顔を向けて座っている。
黄色く光る。
僕はぼんやりと、影に映る。
彼は、振り向くだろうか。
黄色く光る、細く、美しい首筋は、僕の方にひねられるだろうか。
黒いTシャツに、下着姿が、よく似合う。
夕暮れ色に光る肌。
「淳也?」
僕の名前を呼ぶ。僕を苦しめる。横顔。
「はい」
「暑いね。アイス食べようか。」
アイス・・・
一瞬考えて、彼が床に手をつくより前に僕は立ち上がって、冷蔵庫からアイスを取り出し、彼に手渡した。
「・・・うん。はい。」
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