嘘つき草男

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嘘つき草男

私の恋愛は、過去を遡ってもダメ恋ばっかり。 小説の「為む片無し」の中の「草」は、私の過去の経験そのもの。(本文参照) 「草」に出てくる彼は、実在している私の”元男”。 恋人といえる付き合いだったかは、今となっては否定したいし、なぜ”元彼”ではないかは、後の方で理解していただきたい。 出会ったのは、かれこれ、15年は経つだろうか。 彼と初めて会ったのは、友達が務めていた美容室。 一見、どこぞの組に所属していそうな風貌。 普通の女子だったら、絶対近づかないだろう。 そんな彼も、、話してみると気さくで、笑顔が素敵。 私は、クールな男の何気ない仕草が大の御馳走で、その笑顔は正にそれだった。 おまけに、胸板が厚く、低音ボイス。身長以外は、私の好みそのもの。 店長の友人で、元美容師だという彼は、職を転々としていた。 スパニッシュ居酒屋の店長。ホテルの料理人。 変わっていたのは、霊能者の付き人兼運転手。 空手を習っていたというだけあって、腕っぷしは中々のものらしく、それを買われたというのだ。 最初に食事に誘ってきたのは、彼から。 私の好みを持つ男の誘いに、断る理由なんてなかった。 初めて二人で会って食事をしていると、言葉と態度で私を気に入っているというのは、何となく解った。 その後、強引な誘いがあり、2回目の食事と共に、私も彼に喰われた。 少し変だが、喰われた後に私は、彼を好きになり、彼から「好き」という言葉を聞かないまま、自然に一緒にいることが多くなっていた。
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