幽体離脱

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 私は会話の途中で時計をチェックしました。今から出発すれば、暗くなる前に帰宅できると頭の中で簡単な計算をしていました。 「もう帰るの?」叔父は寂しそうに言いました。 「うん。また来るよ」 「そうかい・・・・・・次は通夜かもしれないけどな」 「ちょっと、そんなこと言わないでよ!」 「気をつけて帰ってね。眠くなったら車を止めて少しでもいいから眠ったほうがいいよ。無理して運転したら駄目だぞ」 「わかった」  こういう場合の「わかった」ほど、軽い返事はありません。  結局私は、眠いのを必死に堪えながら、車を走らせていました。  峠に差し掛かった時、眠気は限界まできていました。  どんなに辛いガムを噛んでも、瞼は勝手に閉じようとするのです。 「マズイ・・・・・・やっぱりどこかで休もう」  こういう時にかぎって、パーキングは見つからないものです。  路肩に車を止めて休もうかな? と思っていた頃だったと思います。  私はスッと眠りに落ちていたのです。
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