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「なんっ……で……。」
「ま、そうなるよな。ごめん。ずっと、黙ってて……。話さなきゃって思ってたんだけど……」
宮が話をしているのを遮るように、抱きついた。
「い、井鍋……。」
「関野っ……。なんでっ……」
僕のセフレは毎日顔を合わせ、クラスで一番話の合う、後ろの席の関野だった。
関野は、ゆっくりと抱き締め返してくれた。
その温もりは、目隠しをしていた時よりも暖かく感じた。
「ごめん。俺、ずっと井鍋の事見てたんだ。ずっと、気になってた……。こんな形でだけど、井鍋と繋がれてる幸せをずっと感じてた。好きだって言ったら、嫌われると思って……宮って偽名使って、あのゲイバーに行った。」
「関野っ……。僕、僕っ……。」
関野はずっと僕を気にかけてくれていた。
そんな彼を、気にならないはずがなかった。だけど、宮との関係があったから、汚れた僕なんかを好きになってくれるわけがないと思ってた。
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