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「岡本さん、苺好きですか?」
俺が本当にノリ気だったのか疑わしいのか、小田さんが根本的な質問を投げかけてきた。
「大好きってほどではないけど、普通に好きだよ」
「私、本当はそこまで好きってわけでもないんですよ。前に、佐藤さんに『苺が好きです』って言っておけば可愛く見えるかなと思ってそう言った事があって…それを佐藤さんが覚えていてくれて、このチケットくれたんだと思うんですけど…。苺、好きは好きですけど、何が1番好きか? って聞かれたら、イカそうめんなんですよ」
バツが悪そうに笑う小田さん。
さっきからちゃんと笑えていない小田さんを、もっと笑顔にしたいと思った。
「じゃあ、今度はイカ釣り漁船に乗りに行こうよ!!」
「岡本さん、朝起きられないじゃないですか 今日だってギリだったし。イカ釣り漁船に乗るなら、今日以上に早起きしなきゃなんですよ?」
俺の誘いに白い目を向ける小田さん。
「寝なきゃいいでしょ!!」
「寝不足なんて、船酔いするでしょ。酔い止め持って行かなきゃですね」
だけど、小田さんは俺とイカを釣りに行ってくれるらしい。
小田さんをもっと楽しませたい。
今の俺はただそれだけ。
小田さんが佐藤を好きなままなのならば、それでいい。
佐藤には『お前、小田さんの事好きだろ?』なんて言われたが、自分自身良く分かっていない。
ただ、小田さんが笑っていられればいいなと思うだけ。
今はこのままでいい。
この感情は、ふわふわなままで。
浮遊する想い。
おしまい。
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