第4章 淫らなハンカチ

1/2
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

第4章 淫らなハンカチ

パパは4月の終わりから5月にかけて軽井沢に長くいることにしていた。それが、スタート。 10月の終わりか11月の初旬には掃除して、キレイに片づけて閉じる。 旧軽井沢の別荘地やゴルフ好きな人達が集まるエリアからは、浅間山は見えないか、見えにくいと思う。 パパの宅のエリアからは場所にもよるけれど、浅間山が見えるのね。 見えると言っても、天気にもよるというのはある。霧がかってボンヤリしていることは少なくない。 パパが言うには、ママが行くときには快晴でハッキリ見えるらしい。 5月でも頂上には所々に雪が残っていて、季節感がわからなくなる。 昼間は美しい山と優しい陽射しと風を感じるの。 山道を早足で歩くと上着を脱ぐこともあったくらい。 そして、夕方になると気温がグッと低くなり、ヒーターを朝までつける。 ここは、家に居る時よりも生活感を感じた。 パパは良質な海島綿の白か青色のシャツを着て腕まくりして掃除をしたり料理を作る。 行く前に宅配で送っておいた食材を受け取り、足りないものはスーパーで買い物して。 私が一番好きだったものは、ヨーグルトで作るデザートよ。 あのヒト、残念ね。愛人は1度も食べたことがないんでしょ。 とっても美味しいのよ。ギリシャヨーグルトみたいなね。 貴女がいて、スプーンに赤いグロスをつけられたりカチャって落されるのはイヤよ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!