第2章 王都編 第34話

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「ミーナ。彼の事を知っているのかい?」 「うん、前に家の近くに住んでいたコルビーお兄ちゃんだよ。お母さんが居たときはよく一緒に遊んでたの。二年くらい前におとーさんが王都の店を任されることになったっていって引っ越したって聞いた。」 「そうか・・・。」  しばらく話を聞いていた竜人はエリスに話しかけた。 「エリス、久しぶりに会ったんだ。積もる話もあるだろう。俺はちょっと他に行くところもあるし、後で合流しよう。ラビアたちはエリスたちを頼む。」  そう言うと竜人は歩き出した。 「兄さん?」  エリスは声をかけたが竜人は振り返らずに人混みに消えていった。 「エリス、兄さんって一体?」  コルビーが質問してきたがエリスの耳には入ってこなかった。  エリスたちと別れた竜人は一人王都の街並みを歩いていた。 (エリスの知り合いも王都に居て、孤児院もある。冒険者なんて続けないで王都にいた方がエリスやミーナのためなんじゃないのか? ここから先の旅は、姉に追い付きたいというただの俺のエゴに過ぎないのだから。)  竜人が考え事をしながら歩いていると、いつの間にか酒場の建ち並ぶエリアに来ていた。  すると竜人に声をかけてくる人物がいた。     
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