プロローグ

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 そんな事を聞けば他人からはどうして卑屈にならないのかと言われるかもしれないが、俺は姉を心から尊敬している(ちなみにシスコンでは断じてない、ただ姉のことが大好きなだけだ! 異議は認めん)。  あれは小学3年の時、姉や友達たちと一緒に山へと遊びに行ったときのこと。昼食を食べていると野犬の群れに襲われた。  俺を含めた皆は身動きとれずに泣いていただけだったが、姉が一人野犬たちに対峙して見事追い払ってくれたのだった。  その時の美しい姿が今でも目に焼き付いている。  あの事件からしばらくの間、友達たちは姉との間で関係がギクシャクしていた。  子供ながらにあの強さを目にしてどう関わればいいのか分からなかったのが本心だったと今にしては思うのだか、その時の俺は恩知らずだと憤慨していたものだった。  だが姉はそんな事は歯牙にもかけずに日々を過ごしていた。  俺はそんな姉を誇りに思うと共に、姉に並び立ちたいとの想いで直ぐに祖父に修練をお願いし、毎日欠かさずに過ごしてきた。  しかし、姉との修練は其から数えても直接的なものは両手で数えきれるほどしか行っていなかった。  今日はそんな姉と久々の手合わせに心を踊らせると、鞄をベッドへと投げると直ぐに運動着に着替え道場へと駆け出した。  玄関を出ると途端に急な耳鳴りに思わず耳を押さえるはめになる。 「なんだよこれ」     
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