振り返れば、そこはある

仙台市太白区。

若かりし僕の住んだ寮はそこにあった。

両親と実家から車で四時間かけて、初の寮住まい。

確かにあのとき、僕の胸は期待で膨らんでいた。

閉鎖的な田舎から、いつか抜け出したいと高校卒業とともにその夢は叶った。

だが、親の目とは重要なもので、小遣い稼ぎに始めたバイトに明け暮れる内に夢を抱いて門をくぐった専門学校には、いつしか行かなくなった。

寮の管理人は専門学校の先生であり再三、学校に行けと説教を受ける。

専門学校に通って、何か違和感を覚えた私は、力なく頷いていた。

何かに渇望していたのだろう。

最寄り駅の長町一丁目の駅で地下鉄に乗り、仙台で降りてそこから美術館まで歩く。