プロローグ

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 殺されるターゲットですらその顔を知らない。  ”死神”につながる証拠(しょうこ)は一切無い。  しかし、”死神”に関する(うわさ)は後を絶たない。  依頼は完璧。  その為、”死神”に依頼をする人は後を絶たない。 〈現在遂行中の依頼は終了していない。よって、その依頼は受諾(じゅだく)できない〉  男の声に”死神”が答える。  無機質で、冷徹(れいてつ)な声。  冷めたその声は、ぼやけている。  闇に(まぎ)れるような声に、男は更に恐怖を掻き立てられる。  ”死神”の返答は男にとって絶望的だった。  どんなにターゲットが助けを求めようが、冷酷(れいこく)に依頼を遂行(すいこう)する。  そこに感情が入り込む余地(よち)はない。  それこそが、”死神”が最強で、最凶たる所以(ゆえん)
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