結局、男はオオカミでした。

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と言いたいところだけど、あともうちょっとだけ。 あと一押しで、きっと田岡はごめんって言い出す。 「シビアなご時世だよなあ。田岡に捨てられて中古物件になったら、俺は誰に拾って貰おーかなー」 「……誰も拾わねえよお前なんか」 うおっ?! 「欠陥住宅が」 あれーッ?! 思わぬ反撃に遭った。田岡がなんだか毒舌。 言われた俺はピシッと凍りついた。 嫌味トータル小一時間ってのは、さすがに長すぎたか。 シャワーを浴びてる最中も、わざわざ風呂場のドアを開けたまま、部屋に向かって延々と田岡批判を繰り広げていたのはいくら何でもやりすぎだったかも。 「ぇ……え? 怒った? どエスって言ったから? ヘタなたとえムカつく?」 皿を持ってこっちに戻ってきた田岡に、ビクビクしながら窺い立てた。 すると田岡は無言で、俺の前に皿を置く。 ファミレスで出てきそうな、立派な三段重ねのホットケーキだ。 それと一緒にフォークを手渡されて、すごすごと受け取った。 萎縮。 これ、食っていい雰囲気? いいんだよな。フォーク渡してきたくらいだもんな。 「……イタダキマス」 「どうぞ」 …………こっわ。 威圧感すげえ。
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