迎え

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迎え

「おお~。いいじゃないか。きっとママさんも気に入るよ! じゃあ、諒君。早速この花束を4丁目の小春ママの店に配達頼むよ」 「はい。いってきます!」  輝明叔父さんから、店用のお財布ポーチを受け取り花束を抱え店を出た。  今日はとてもいいお天気。青い空に白い雲がぷっかりと浮かんでる。太陽の光を受けキラキラ輝く、腕の中の黄色と白の花たち。 「おい。幸本、幸本諒介」  名前を呼ばれ目を上げると、道路の真ん中に堂々と立っている男性。濃いグレーのスーツジャケットに同じ色のパンツ。ジャケットの中はワイシャツではなくて、おしゃれな感じの黒いインナーだった。両手をパンツのポケットへ突っ込み、感情の見えない目で、僕を真っ直ぐ見てる。 「あなたは?」 「死神だ」 「はぁ、どうも」  僕の名を突然呼んだ人は自分を「死神」だと名乗った。  変わった人。ニックネームなのか、初めましてでニックネームってネット住民さんなのかも。「死神」なんてダークなハンドルネームつけているけど、陰気な感じはしない。キリっとした顔立ちで、荒々しさもなく、スーツがよく似合ってる。いかにも仕事が出来る男って感じで、パッと見はネット住民さん風にも見えないけど、趣味は人それぞれだしね。  死神さんは僕の乏しいリアクションが気に障ったのか、片方の眉をピクリと上げた。 「あの、僕になにか?」 「死神の用事など一つしかない。迎えに来たんだ」 死神さんは淡々と言うと、腕時計を見た。 「迎え? えっと……これから配達に行かなきゃいけないので。このお花を三時半に届ける約束なんです」  死神さんは偉そうに言った。 「良いだろう」 「……はぁ」  死神さんに会釈して歩きはじめると、うしろをついてくる。迎えって輝明叔父さんに用事か何かを頼まれたのかな?
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