〈 1 〉ホーム 正午前のベンチ

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〈 1 〉ホーム 正午前のベンチ

朝から、熱っぽかった。 やっぱりダメだったみたい。 1時間目で早退することにして、駅に向かう。 絶対、熱上がってる。 こんな時間の駅にはほとんど人がいない。売店のおばあちゃんも多分、コクりコクりと寝てるよね。 こんな時間だから、電車が来る間隔も広い。 ちょっと待たなければいけないなあ。 改札を通るときにふと横を見た。 もう誰も使わない伝言板がある。 スマホの時代に、正しい使い方が必要な人なんていないよ。うちのおばあちゃんでも携帯持ってるのに。ガラケだけど。 時々、下品なイタズラ書きがあるだけなのに、いつもチョークがある。誰でもいつでも書けるようになってる。 下品な落書きがある日は、もうこの伝言板を無くしてしまえばいいのにと思いながら、見ないようにしてその前を通った。 伝言板が駅にあることも、そこに書かれた下品な言葉も、この町がとことん田舎で私はそこに住む田舎者なんだと、たたみかけられている気持ちになってしまう。 一駅向こうの海水浴場のある駅には、他所からの観光客もやってくるけれど季節限定、夏だけだ。 通勤通学時間は使われても、この時間は誰も使わないだろうな、あの駅。     
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