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「まあ、先輩でも後輩でもなくなりそうな人もいる訳ですけれどね」
先輩でも後輩でもなくなる。
学生の僕らにとって、それがどういうことなのか。
どちらにせよ、あんまりひねくれたことは言うものでは無い、というようなことを僕は茉麻ちゃんに言った、と思う。
「ひねくれてなんかいませんよ。ただちょっと、ねじれているだけです」
春が終わり、夏になった。
文化祭に向けた公演、合わせて大会に向けた作品作りに追いやられる僕らは、充実感と現実との板挟みに合いながら、知らん顔で襲いかかってくる葛藤と戦っていた。
それぞれに思うことがあって、誰が頼んでいるわけでもないのに問題が巻き起こる青春を、何も分からない僕らは分からないなりに、分かることだけを武器に謳歌していた。
そう、誰が頼んでいるわけでもないのに。
問題は巻き起こる。
水面を叩く嵐のように。
水面を飲み込む渦のように。
001
文化祭公演三日前になった。
直近のこの時期だけは顧問の先生も深夜までの練習を許してくれる。
そうは言っても、20時をすぎると嫌な顔をし始めるものだから、大体それまでがリミットだ。
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