精神を病んだ姉

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精神を病んだ姉

私が中学2年生の時、2つ上の姉が精神を病んだ。 何か様子がおかしい、そう気づいた時には、既に姉の手首には醜い切り傷が無数に走っていた。 姉は父に暴言を吐き、母を無視し、私を徹底的に避け、部屋の扉を閉ざしてしまう。 よくある反抗期だと思った。 大人になるにつれて落ち着くだろうと。 ただ、流石にリストカットはやりすぎだ。 父と母は姉を心療内科へ連れていくことを決めた。 どこの病院にいっても思春期特有のストレスでしょうという話をされた。 『どうしてこうなってしまうのかわからない』 『本当はこんなことしたくない』 毎回カウンセリングで姉はそう言うらしい。 薬を飲めば落ち着くが、また暴れるという繰り返し。 ひきこもりの姉と大半の時間を過ごす母は、次第に精神を蝕まれていった。 姉は母と二人きりになると 『お前が生んだせいだ』 『大して私のことも愛していないくせに』 『ホントは死んでほしいと思っているんだろう』 といった言葉をあびせていたようだ。 母は私の前では気丈に振舞っていたが、突然泣き出してしまうなど、どう考えても無理をしていた。 実の娘からそんなことを言われていたら無理もない。 父は仕事が忙しいことを理由に朝早く家を出て、夜遅く帰宅するようになった。 できるだけ姉と顔を合わせたくない様子だった。 父も母も私を挟んで言い争いをするようになった。 不思議なことに姉は、私には暴力的ではなかった。 極力私との接触を避け、私と自分を比較して自虐していた。 私の存在が彼女の劣等感を刺激しているようだった。 わたしは3人とも大好きだったけど それゆえ板挟みになってしまい家が苦痛だった。 大人になってから 母は姉との心中未遂を何度も起こそうとしたが、 姉の寝ている顔を見ていると涙が出てきて出来なかったこと 父は母を姉から解放するために、 市役所から離婚届を貰ってきており、 もう記入まで済ませていたこと を両親から聞いた。 『そうなってもしょうがない』 そう思ってしまう位、当時は全員が参っていた。 停滞する地獄のようだった。 そんな時、突然母がこんなことを言い出す。 『お姉ちゃんのことを話したら、お友達の知り合いの霊能力者さんが会いたいって言ってるの』 私は、ついに母までおかしくなったかと思った。
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