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霊能力者の装備はエプロン
『姉に霊能力者が会いたいと言っている』
私はついに母が壊れたと思った。
目に見えない存在で姉を直そうと思っているなんて…
新興宗教に騙されているんじゃないのか…
何か変な壺を買わされたらどうするんだ…
当時はテレビに色んな自称霊能力者や占い師が出ていた時代で、私は全く信用していなかった。
もちろん私はそんな得体の知れない存在に、
こんな状態の姉を合わせることに猛反対。
が、母は父に内緒でその『霊能力者』とやらを家に呼んだのだった。
今の母と姉はおかしくなっている。
まともなのは私しかいない。
私が家を守らなくては。
何かあったら警察に電話しよう。
そんなことを思い眠れない夜を過ごした。
当日、アパートの下まで霊能力者を迎えにいくと、
そこにはエプロンを着た中年女性が立っていた。
仮にきぬえさんと呼ぼう。
『あの、きぬえさんですか………?』
『そうよ。今日はあなたのお姉ちゃんに会いに来たの。楽しくお話しましょうね』
そう言ってニッコリと笑うのだった。
言っちゃ悪いがきぬえさんにはそんな特殊な能力があるようには見えない。
どこにでもいる、サバサバした感じの中年女性。
しかも装備はエプロンだけ。
怪しいツボは持っていないようだが、
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