守る

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姫乃はキラキラ光る沢山の食事を前に手を合わせて泣いて喜んでいた。 「すっごぉぉい!なんて美味しそうなの~!?このステーキ…サーロインじゃん!!パスタも美味しそうなのばっかり…とりあえず、全部制覇しなくては!」 一人盛り上がり、バイキング用のお皿に次々と料理をお皿に盛り始めた。 結城が同じ会社の社員と話していると、葵が近くに寄ってきた。 「やぁ、遅くなって申し訳なかったね」 葵が挨拶をしながら、手に持っていた二つのシャンパンを一つ結城に差し出し、結城はそれを受け取った。 「では社長、また後で…観月さん、失礼します」 結城と話していた男性社員が、頭を下げて挨拶をしてきた。 「あぁ、すまないね…」 葵が申し訳なく言うと、男性社員は「いえ大丈夫です、失礼します」と言って何処かへ行ってしまった。 「お前一人か?」 結城がシャンパンを一口飲んで葵に聞いた。 「姫乃さんは…あ、あそこで料理取ってるよ?お腹空いてたみたいだから…」 葵が指を指した先には姫乃がパスタやステーキをお皿に沢山入れていた。 結城はキャーキャーしながら料理をお皿に入れてる姫乃の姿をみて、静かに笑みをこぼした。 葵がそんな結城の姿をみて「変わったな…結城…」と言った。 「あぁ?」 結城は意味が分からないと言った表情をして、眉間にシワを寄せて葵を睨み見た。 「少しだけど、表情が柔らかくなったなぁ~って、姫乃さん、まっすぐで純粋だから…かな?このまま三年なんて期限無くしてもいいんじゃない?紙の上では本当の夫婦になっているんだし、後はお互いの“気持ち”だけの問題でしょ?」 葵の発言に結城は目を丸くして葵を見た。 「お金なんて求めてないでしょ?心の何処かに、誰かから“愛されたい”って、気持ちが芽生え始めたりしてるんじゃない?姫乃さんは君に…マリアさんとは違う“愛”を教えてくれるんじゃないかな?」 結城は黙って聞いていた。 「愛されたいって…なんだ?」 結城はうつ向き暗い表情で葵に聞いた。 「それはー」 葵が話しかけた時に、誰かが結城を呼んだ。 二人は声がした方を振り向くと、そこに居たのはスーツ姿の結城の父親と、真っ赤なドレスを身に纏ったマリアが居たのだった。
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