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沈黙が場を支配する。
かなり不味い空気になった。この空気を何とかしなければ・・・・。
そう考え、解決策を模索する。しかしどれも解決できるようなものはなく、申し訳なさそうに俯くことしか出来なかった。
しかし空気をしっかり読んだものもいた。
ぎゅるるるる、と大音量で腹の虫が食べ物をせがんできた。それこそ部屋の外に漏れているのではと、心配するほどに。
ふふふ、と可愛らしい笑い声をだすティアーネ。
「それじゃあ、食事ついでに孤児院を案内しましょう」
パンッと手を叩き、微笑みかけてくる。
「じゃあ、お願いしましょうかね」
同じように微笑み返す。
そして俺はベッドから降りる。その柔らかな感触が離れていくのを惜しむが、今は耐える。
足が地面につき、直立すると体の各所に自重がかかる。
よく見ると足元には、履きなれたスニーカーが並んでいた。
「お兄さん、珍しい服だね。どこの国から来たの?」
ルネリアが聞いてきた。
確かに今の俺の服装は、黒のポロシャツにジーンズだ。
しかし目の前にいる二人の服装を見る限り、ライトノベルによくある中世のような服装、という感じだろうか。
それが普遍的だとするなら、俺の現在の身なりは街中に出れば目立つというレベルではないだろう。
「ああ、東端、東の端の国からね。まぁ、あるか分からないけれど」
そんな意味不明な回答をされ、余計にややこしくなったに違いない。
この世界は、俺が生きていた世界ではないのは確かだ。
部屋にある調度品は、俺の家にある物よりも手作り感に溢れている。床や壁、天井などの造りからしてもそうだろう。
「時間があるときに、ゆっくり話してあげるさ」
笑顔を浮かべ、優しく言う。それに答えるように、満面の笑みを返してくれた。
「よし!」と内心で呟きつつ、スニーカーを履く。
慣れた感覚は、安心感をもたらしてくれた。
「それじゃあ、まずは食事としましょう」
ティアーネがドアへ歩き出す。その後ろを俺とルネリアがついていく。
まずは、腹ごしらえから始めますか。
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