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「ハァ…凄かった……。」
美音さんのマシンガントークは凄まじく、後半はもう何がなんだかわからなくなった。
……疲れたな…。
多分遊び疲れた。
今まで遊び疲れたことなんてなかった。
……嫌じゃない疲れもあるんだな……。
そう思っていると、一際強い風が吹いた。
……涼しい…。
今は自由な時間。
プチパーティーの後、夕食の時間になるまで各自自由に過ごすことになった。
私は響さんに二階に行けと言われたため、二階に向かった。
そこでバルコニーを発見して、今に至る。
「ワンッ!」
「わたあめ!」
「ワフッ!」
「二階にいたんだ。」
プチパーティーの時いないと思っていたら勝手に二階で遊んでたらしい。
「何かあった?」
「ワン!」
わたあめは嬉しそうにしっぽを振っている。
多分楽しかったんだろう。
しばらくじゃれあっていると、
「あっ!椿ここにいたの。」
「美音さん。」
美音さんが来た。
どこか悲しそうな顔をして。
「どうしたんですか?」
「んーん。ちょっとね。」
美音さんはバルコニーにあったイスに座った。
釣られるようにして、私ももう一つのイスに座る。
それからはしばらく無言だった。
今までに見たことのない美音さんが隣にいて、戸惑った私は話しかけることもできなかった。
……どうしよう…。
「ねぇ、椿。」
「え?あっはい。」
先に無言を破ったたのは美音さんだった。
「椿は今日楽しかった?」
「はい、とっても。」
「…良かった…。」
「美音さん…?」
「……。」
美音さんは泣きそうな顔をして私を見つめている。
……どうして…。
「あのね椿。」
「はい。」
「どうして響が海に入らなかったと思う?」
「え?」
美音さんからの突然の質問に私は戸惑った。
……確かに響さん…結局海入らなかった…。
「…何か…理由があるんですか?」
そう言った瞬間、美音さんは笑った。
泣きそうな顔のままで。
「…昔ね…遊んでたの…ここの海で。」
「……。」
「その時はまだ私と響は仲良かった。」
「……。」
「けど…海で遊んでいた時……私は響に酷いことをしたの。」
「……。」
「そのせいで仲悪くなっちゃった。」
「…何が…あったんですか?」
もしかしたら聞いてはいけないことかもしれない。
それでも…聞きたかった。
少しでも…響さんを知りたかった。
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