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第一章
俺の名前は、坂上ゆうと。
高校1年生だ。都内の公立高校に通っている。
俺の周りにはいつも人が集まる。
だが皆、友ではない。俺の敵である。
理不尽な罵倒、暴力、肉体的にも精神的にも限界だ。
死ねば、楽になるのかと思い、毎日マンションの手すりに手をかける。
ああ、今日も無理だ。臆病な自分が腹立たしい。
いじめる奴らに反抗もできずに死ぬのか?
――そんな葛藤をしていた記憶がある。
ただ、何か大切なことを忘れている気がする。
俺は今、どこまでも続く広い川の前にいた。
なぜこんな場所にいるのか、いったい何があった?
時間帯は夕暮れであろうか。まるで紅色で塗りたくられたような空だった。
血を連想させる不気味な感じがした。
あたりを見渡すと、6人ほど人がいた。
皆、見知らぬ場所のようだ。
あたりをきょろきょろしたり、スマホを確認したり。
6人の中には、5歳くらいの少女もいた。
幼い彼女は、随分とおとなしかった。
俺があのぐらい小さくて、一人ぼっちだったら泣きわめくだろう。
その点、彼女はじーと川のほうを見つめている。
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