白の君

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6月の梅雨入り後 時期外れに君がやってきた 君はいつも、誰とも話さない 君が笑い 君が泣き 君が驚く 君の表情が変わるところを 誰も知らない だけど、ある夏の終わり 海にいる君を見つけた どこか遠くを見ているかのような 何か思い詰めているんではないのか そう思ってしまうような雰囲気の君を 僕は声をかけようか迷っていた 「いつまでそこにいるつもり?」 「えっ???」 主の分からぬ声に、僕は辺りを見渡した 「私! 同じクラスでしょ?」 声の主は君だった 「なにしてるの?」 僕の問いかけには答えてはくれなかった 「私、この海が好き 好きだけど、嫌い 嫌いだけど、好き」
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