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ひらひらとちょうちょが舞っていた。
黄色いちょうに赤いちょう、そして青いちょうが追いかけっこをしている。
地下鉄のまっしろな蒸気が、地下いっぱい立ち込め、三羽のちょうをおおい尽くす。
黄色いちょうが、苦しそうに羽根をばたつかせて、必死に蒸気を払いのけようとするが、ちょうのひと羽ばたきなど、たかが知れている。
黄色いちょうは、やがて羽ばたくのをやめ、地面にうずくまってしまったのだった…。
それをながめる私は、いつの間にかちょうの羽根を背中に宿し、必死にばたつかせていたのだ。
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