俺の姫様に愛されたい

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――なんていうか、不満だ。 アスタは独り言ちた。彼は自室でペンをくるくると回しながら考える。 会いに来いと暗に言ったつもりだったのに、あれから2週間、サラの方から一度も俺のところに来ない。伝わらなかったんだろうか?いや、あの時の反応なら、サラはきっと分かってる。分かった上で俺のところに来ないのだ。 忙しいのは分かる。サラはできないことを嫌うし、レッスンで課題も出されるだろう。でもな、俺だってそれなりに忙しいぞ。それでも俺は会いに行くのに、お前は俺に会いたくないのか、と言いたい。 アスタはため息をつき、机に突っ伏した。 わがままだろうか?好きになった子が自分を好きで、そのうえ妻になってくれるんだから、これ以上ないだろうに。それでも、わがままな自分は思う。 ――寂しい。会いたい。 もっと、サラに愛されてるって実感がほしい。 ***** アスタは城の廊下を歩く。勉強がはかどらなくて抜け出してきたのだ。リチャードに見つかればまたどやされるだろうが、それよりも気分転換の方が彼は優先だった。 今日は天気がいい。ぶらぶらと歩く彼は、ダンスホールの近くを通りかかり、サラの姿を見つけた。 「おい。サ――」 呼びかけようとした彼はぎょっとした。
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