俺の姫様に愛されたい

3/11
539人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ
サラは一人ではなかった。若い男三人と楽しそうに話をしていたのだ。瞬間、アスタのこめかみが引きつる。――俺のところに来ないで随分楽しそうだな、おい。 すると、サラの方が気づいてアスタのもとに駆けよってくる。 「アスタ?どうしたの?」 文句の一つも言いたくなったが、彼はぐっと堪えて笑顔を見せた。 「別に。うろうろしてたら、サラを見つけたから」 「また抜け出したの?」 「休憩ですーーー」 呆れたように言うサラに、アスタは唇を尖らせる。また文句を言われる前に訊ねた。 「サラは?今なにしてんの?」 「今日は社交ダンス。今まで一人でやってたんだけど、今日からカップル練習になったの」 そう言って、サラは彼らの方を振り返る。男性陣三人はアスタの存在に気づいており、ぺこりと頭を下げた。サラは当然のことのように言ったが、アスタは彼女の言葉に、思わず口が開いた。 「か、カップル練習って、今日やるって知ってたんだよな?」 「うん」 「なんで俺に声かけなかったんだよ!?」 彼女の返事にアスタは詰め寄る。サラは驚いて一歩下がった。 サラは当然、俺が踊れるのを知ってる。しかも、この城で社交ダンスを教えるなら、その人物は決まってる。講師は同じ。それにもかかわらず声をかけてこなかった。……ってか他の男と踊るとか許可してねェぞ!? 鼻息荒く問うアスタ。サラは困った顔でうつむいた。 「だって――」 「だって?」 視線を彷徨わせた後、彼女は言った。 「…………アスタとは一緒にしたくない」
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!