かがやく

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かがやく

あの雨の日に 光って見えた 僕が、女の子を好きにならず、男の子を好きになることに気づいたのは、ずっとずっと昔のことだ。 女の子には一切興味が持てなかった。人間としての興味に留まる。他の男子が言うようなえもいわれぬ興奮も、決して覚えることはなかった。 そんなことは、世の大多数とは違っているんだと 気付いたのも随分前の話だ。 別に、恋愛をしなくても生きていける。 そう気付いたのは、最近のことで。 もう、誰も好きにならずに、誰にも蔑まれずに、誰にも気味悪く思われないように生きようと、最近は心に決めていた。 それなのに、あの雨の日。 光っていたのは、眼だった。 眼球すら雨粒を受け止めたように、濡れて光っていて、僕は一瞬で、そう、一瞬で、美しいと思ってしまった。 綺麗なものに心惹かれるのは、人間の性だ。 僕は、僕の決意と裏腹に、君を好きになってしまった。
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