第3章 新しい仕事。

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お参りを終えると、境内の横の道を抜ける。 「この裏にコウイチと遊んだ公園がある。」と笑う。 公園は滑り台や、ブランコがある子供の遊び場だ。 「来るたびに思うんだけど、子供の時思ってたより結構狭いな。」と微笑む。 誰もいない公園のブランコに永野さんが座って、文庫本を読んでいた。 「昔もコウイチはここで俺を待ちながら本を読んでた。」とクスリと笑う。 ブランコに近づくと、永野さんは顔を上げる。 「よお、たくさん願い事は出来た?」と笑った。 安西さんは 「まあね。」と笑って私の顔を見る。 「永野さんはお参りしないんですか?」と私が聞くと、安西さんが 「コウイチはそのうち家族と来るんだろ?」と笑う。 「僕は明日から、お休みをもらっているので、妻と明日初詣に来ます。ご心配なく。」 と永野さんは私に笑いかけた。 「コウイチは高校の同級生と結婚してて、夏には父親になるんだよ。 俺は置いてきぼりだ。」と安西さんは笑う。 永野さんは 「春妃さん、こいつと結婚してやって。 こんな地元にに女連れで来た事なんてないんだよ。 崇は結構、本気だと思うんだけど。」と私の顔を覗く。 私は笑って、 「私達は本当にお付き合いをしているわけではありません。」と言うと、永野さんは驚いた顔をする。 「ニーナ、俺は恋人だって思ってるけどぉ」と安西さんがクスクス笑う。 「崇、ちゃんと説明しろ。」と呆れた声で永野さんは安西さんの顔を見た。
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