第3章 新しい仕事。

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「ふうん。プラタナスのコーヒーのハウスブレンドを作り直す。って事か?」 と永野さんは車を運転しながら考えている。 「コーヒーの味に詳しい春妃さんに協力してもらうって言ってるけど、 なんで、ハルキさんは協力してくれるの?」とミラーで私の顔を見る。 …ちゃんと、運転に集中してください。 安西さんは 「そのうちわかるよ。今は秘密なんだ。」と私の顔を面白そうに見る。 気に入らない。 「安西さんに協力するって約束しています。」 と私が機嫌の悪い顔で言うと、 「崇、春妃さんの機嫌の悪い顔って、チャーミングだな。」とクスクス笑う。 「でしょう。」と安西さんも笑顔だ。 いや、私は機嫌が悪いだけだ。 笑い事じゃない。 と思って、窓の外を睨む。 車は安西さんの住むマンションに着いた。 「ニーナ、今晩も泊まっていく?」 「嫌です。」と私が仏頂面で答えると、 ふたりは声を合わせて笑った。 安西さんの部屋で鍵をかけて着替える。 「ニーナ、コーヒー飲む?」と安西さんが部屋の外から声をかけてくる。 「いただきます。」と答えると、 「了解。」と足音が遠ざかる。 やれやれ。私はベットの角に座り込む。 とんでもないことになってる気がする。 でも、 安西さんの計画は少しずつ前に進んでいる。 早く終わらせて、 いつもの日常に帰りたい。 と私は深いため息をついた。
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