貸した漫画

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 一生懸命アプローチして、数すくなかったけどデートを重ねて、時間があればLINEも電話もして、ようやく恋人になれたと思った彼に、ヤったと思ったら逃げられた。  ヤリ逃げではない。  ヤった事実と己の不甲斐なさにおののき、彼は逃げるしかなかったのだと思う。  だから私は捨てられたわけでもなく、彼から身を引いたのではなく、離れるべくして離れたのだ。  三年も想い続けた彼とは、たった四ヶ月しかもたなかった。  手もつながないキスもしない、頼むからヤらせてくれと謎の勢いのまま乞われ、それに応じるとそそくさと彼は居なくなってしまった。  彼は、私だからセックスしたかったのではなくて、彼女という立ち位置にたまたま私がいたからセックスしたかったのだと、いまなら判る。  三年も想い続け、ひたむきに連絡をして、たった四、五回のデートのうちにどうにか私に好意を持ってくれないか必死にやってきたのに。  好きな人がいるのだけど、どうしたらいいかな。  ただ漠然と親友に相談した日々。  〝そいつは童貞なの?〟  親友の言葉が胸に刺さる。  確かに、彼にはその節が感じられた。     
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