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Andre the sky...
美しい夜の草原、広がる星空の下で、彼らは静かに歩いていた。
男が夜の冷たい空気に向かって、こんな事を言った。
「ここの夜空はいつ見ても、心にくる物があるな」
今、俺達は満天の星空の下、ただただ広い草原を歩いていた。
足下を涼しい風が通り抜け、そこらじゅうに咲いたラベンダーを揺らす。
空は雲一つ無く、うっすらと紫色をしていた。
遥か遠くの地平線から現れるまばらな星は、俺達の頭上に近づくにつれてその数を増し、やがて雄大な銀河を見せてくれる。
しかし、俺の後方からアルコールの臭いがしたせいで、ロマンチックな気分が台無しだ。
文句を言わせてもらおう。
「ったくこんな綺麗なもんが拝めるってのに、お前は酒ばっかだな」
俺達は今、偵察作戦を決行中だ。
総員20名を連れ、この幻想的な戦場を進行している。
夜空の草原に、静かに風が吹いている。
丘の上には、一昨日からやって来たと推測されるクラメナ国の部隊が、粗末なキャンプを建設していた。
小型の輸送ヘリコプターと思われる未確認機体がグレーの覆いを被せられ、それを囲うようにしてテントが張られている。
このキャンプを初めに発見したのは、我々部隊一の酒好きであるラスロ・バツェルだ。
昨日も遅くまで飲んでいて、早朝になってから急に気分を悪くし、他の隊員の迷惑にならぬよう、なるべく離れた所で吐こうとしていたらしい。
その時、彼も見知らぬクラメナ産の酒の空き瓶を拾い、不思議に思って我々に報告、念のため偵察を開始した所、運悪くキャンプを見つけた訳だ。
ちなみにラスロは酒の匂いを嗅いだだけで、その酒が開封されてから何日経ったか言い当てられる。だから敵がいつからここに居たのか推測できるのだ。
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