第七章「イモムシの助言と彼女の回想」

14/17
760人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
「相変わらず黒いね……前から聞きたかったんだけどさあ、家にタンニングマシーンでもあんの?」 「いいや、海で焼いてるんだよ」 「ウソ、真冬でも超黒いじゃん」 「海外で焼いてるんだよ」 「ふうん、それで話って何?」 「本当に辞めるのかい?」  ペリエで喉を潤すと、権藤は静かに尋ねてきた。 「うん、ちょうど1年経ったしね。そろそろ潮時だよ」 「僕たちいいパートナーだと思うんだけどなあ……考え直す気は?」 「悪いけど、もう決めたことだから」 「そっか、残念……じゃあ、仕事抜きで僕のパートナーになる気は?」 「女子校生をからかっちゃダメだよ」 「からかう? まさか」  権藤は真剣な眼差しで、小夜を見つめた。 「私みたいなガキのどこがいいの?」 「顔もスタイルもモデル並み。加えて頭もよくて仕事もできる。そして一番は……強烈に何かを欲している、その瞳が好きなんだ」  相変わらずこの人は見透かしたことをいう……。小夜は心の中でポツリと呟いた。 「ありがとう。でも今は別の人に夢中だから無理」 「へえ、因みにどんな男だい?」 「うちの高校の子」  「こないだいってた、サッカー部のキャプテンかい?」
/535ページ

最初のコメントを投稿しよう!