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 灼熱の太陽が僕の全身を照らしつけていた。ビーチパラソルの影の中に座っていながらでも皮膚が焼けるような気がする。  僕の視線の数メートル先には水着姿の美樹が友達の冴子と一緒にビーチボールで遊んでいる姿が見える。 「役得だな」  俺の後ろから話しかけてきたのは成田だ。無駄にいい顔をして眩しそうに目の前の光景を眺めている。  確かに二人のビキニ姿はとても美しい姿だった。艶やかな肌に海のしぶきをまとって肌が光っている。なめらかな体のラインは男なら誰でも憧れるような造形をしている。  すらりとした足の長い美樹が俺と成田の視線に気が付いたのかこちらを見て自分の体を隠すように両手で覆う。「べー」と悪戯をした子供のように舌を出すその姿はとても愛らしかった。 「成田も一緒に遊んで来ればいいよ。荷物番は俺がやっておくから」  俺の言葉に成田が怪訝そうな顔をする。 「お前どうしたんだ? 熱でもあるのか? この楽園を前にして喜ばないなんてもはや罪悪だぞ」  成田が力強く言う。なるほど、もっともだ。いつもの俺なら成田と同じことを思い同じ主張をするだろう。むしろ、今の俺のような態度を取っている男がいれば共に懲罰をあたえるぐらいの勢いだ。  ただ、今の俺には俺の特別な事情というものがある。  それものっぴきならない。人生最大の問題に今、俺はぶち当たっているのだった。
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